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「オレ、このタレント嫌いや!あのモノの言い方が気に入らんねん!」
一昨日のことだった。関西の某情報番組を見ていたら、父がいきなり怒り出して他局へチャンネルを変えてしまったのである。怒りの矛先は、歯に衣着せぬ物言いが売りの吉本所属の某女性タレントだった。今や関西で彼女を知らない者はいないであろう、どのチャンネルをひねってもほぼ満遍なく出演している売れっ子芸人である。珍しいこともあるものだというのが俺の最初の感想だった。しかし、よくよく思い返してみると、それは今に始まったことではなかった。同番組には隔週である新喜劇女優がリポーター役で出ているが、一年前のある日にも、「この女嫌いや!」と言ってそそくさとチャンネルを変えたことがあった。それはまだいい方の部類で、更に数年前には、同番組の別コーナーを担当する女性アナウンサーが登場すると、断りもなしにチャンネルを変える有様だった。それも一回やや二回ではない。黙して語ろうとしなかったが、様子を見れば何となくその理由は理解できた。声と主張がとにかく癇に障るのである。その証拠に、そのアナウンサーが出演する他番組を、父は一切見ようとしない。父は意外に頑固である。女性中心のこのご時世に、女性の主張を受け入れない。男尊女卑の時代に育っただけに無理もない話だが、それにしても頭が固い。だから、関西のご意見番として知られる某大物女性タレントが司会を務める番組で離婚寸前の夫婦の様子が赤裸々に放映された時など、父は如何にも不機嫌そうに大急ぎでテレビを切った。聞くに堪えなかったのである。その父とさっき、ある話題で会話をした。もうじきNHKの朝の連ドラが終わるが、今の連ドラは全く見ていないと言う。理由を聞くと「東京制作だから」と言った。父曰く、「大阪制作はなじみがあるので見るようにしているが、東京制作は堅苦しくて見る気がしない」らしいのである。別に今の連ドラを見ろとは言わない。ネット上であれだけ酷評される内容だけに、恐らく父には受け入れられない出来であろう。ただ、大阪制作でも不出来はある。数年前の某作品は不評につぐ不評だった。そもそも、視聴率では東京制作>大阪制作が一般的である。そのことを父に伝えたら、瞬く間に不機嫌になった。どうやらまた頭が固くなってしまったらしい。
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